
本稿では、特定技能制度の根幹を支える「運用要領」のポイントと、登録支援機関が実務において直面する落とし穴、そして専門家と連携する真の価値について深掘りして解説します。
1.特定技能制度とは
特定技能制度とは、国内人材を確保することが困難な状況にある特定の産業分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。
現在、介護、建設、宿泊、外食業などをはじめとした以下の19分野が対象となっています。なお、直近で追加された分野については省令等の準備が整い次第の受け入れ開始となります。
【対象分野】
・介護
・ビルクリーニング
・リネンサプライ(省令等の準備が整い次第受入れ可能。)
・工業製品製造業
・建設
・造船・舶用工業
・自動車整備
・航空(育成就労産業分野の設定はありません。)
・宿泊
・自動車運送業(育成就労産業分野の設定はありません。)
・鉄道
・物流倉庫(省令等の準備が整い次第受入れ可能。)
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
・林業
・木材産業
・資源循環(省令等の準備が整い次第受入れ可能。)
(ア)特定技能1号と2号の違い
特定技能には習熟度に応じて1号と2号があります。
①特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。在留期間は通算で上限5年であり、家族の帯同は基本的に認められません。また、受け入れ機関(企業)には、生活・職業生活上の「義務的支援」が課されます。
②特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。1号と異なり、在留期間の更新制限がなく、要件を満たせば家族の帯同も可能です。将来的な永住申請への道も開かれています。
この制度の最大の特徴は、単純労働を含む現場作業が可能である一方で、外国人の人権保護と適正な就労環境を担保するために、支援義務が設定されている点にあります。
2.特定技能制度における運用要領とは
特定技能制度を活用するうえでは、特定技能運用要領を正しく理解し、正確な制度運用が求められます。
(ア)運用要領の役割
法律(入管法)や省令は、あくまで大枠のルールを定めたものです。しかし、実際の現場では「具体的にどのような書類が必要か」「『中立性』とはどの程度の範囲を指すのか」「欠格事由に該当する過去の不祥事とは何か」といった細かい疑問が次々と湧いてきます。
運用要領は、法務省(出入国在留管理庁)がこれらの疑問に対し、「審査の基準」や「具体的な運用指針」を100ページを超える膨大なボリュームでまとめたものです。登録支援機関にとって、この要領は単なる参考資料ではなく、「遵守しなければならない業務マニュアル」となります。
(イ)運用要領の変更について
運用要領は、社会情勢や制度の見直しに合わせて頻繁に改定されます。そのため、最新の運用要領を遵守した運用ができているのか、定期的な情報のキャッチアップが重要です。直近では、2025年9月に内容が更新されています。
3.最新の運用要領のポイント
特定技能の運用要領を確認するうえで、特に実務面での影響が大きいのは以下の点です。
(ア)定期届出の頻度変更
今までは四半期に1回必要だった定期届出が、1年に1回に変更になりました。新要領における届出の初回は、2026年4月1日~2026年5月31日までの間の提出が必須となります。
届出の実施頻度については減りましたが、提出するべき添付書類の種類が増えていることや、登録支援機関と特定技能所属機関で連携しての届出書類の準備が必要になりましたので、早め早めの準備を進める必要があります。
(イ)定期面談の形式変更
今まで対面での実施が必須となっていた定期面談ですが、オンラインでの面談実施についても可能となりました。ただし以下のような注意点もあるため、オンライン面談を実施する場合にはこれらを守る必要があります。
①オンライン面談の実施には、特定技能外国人本人と、監督者の同意が必要
②初回の定期面談は必ず対面で実施
③オンライン面談で問題が発覚した場合には再度対面で面談を実施
④面談の様子は録画保存(1年以上)が義務化
⑤面談環境に第三者がいないかどうかの確認
⑥年に1回は対面での面談を推奨
実施頻度は今までと変わらず3ヶ月に1回となります。
(ウ)通算在留期間の算定方法の変更と延長
特定技能外国人の在留可能期間は原則通算5年ですが、この通算期間の算定から、妊娠、出産、育児その他のやむを得ない事情により業務に従事することができなかった期間を算定期間から除くことが決定しました。
また、特定技能2号試験に不合格になった外国人について、一定の基準を満たした場合には、最大で6年の在留期間が認められることとなりました。そのため、所属機関に向けての提案として、特定技能2号への移行を見据えた提案がしやすくなったとも言えます。
4.専門家と連携するメリット
登録支援機関が自前ですべての法適合性をチェックし続けるのは、リソースの面でも専門性の面でも限界があります。行政書士などの専門家と連携することで、最新の法改正や要領改定へのキャッチアップ、書類作成時の専門家サポートを受けられるなどのメリットがあります。
(ア)法改正・要領改定への迅速な対応
特定技能の運用要領は、常にブラッシュアップされています。専門家はこれらの動向をリアルタイムでキャッチアップし、最新の要領に合わせた支援体制の改善提案をすることが可能です。そのため、情報不足によるコンプライアンス違反を未然に防ぐことが可能です。
(イ)複雑な書類作成の正確性とスピード向上
特定技能の申請書類を登録支援機関で作成することは、認められていません。大房行政書士法人では、特定技能所属機関と直接ご契約させていただき、特定技能の在留申請を承ることも可能です。
5.登録支援機関事業を進める上でのお悩みは、大房行政書士法人までご相談ください
特定技能制度の運用は、外国人材の人生と企業の未来を預かる責任ある業務です。しかし、多くの改正が行われるこの分野の正確な情報を、日々の業務を行いながら完璧にキャッチアップすることは容易ではありません。
大房行政書士法人では、特定技能の在留資格の申請業務を数多く実施しています。また、別法人での登録支援機関事業も通じて、登録支援機関事業の実務に関する知見も有しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
大房行政書士法人では、特定技能の在留資格の申請業務を数多く実施しています。また、別法人での登録支援機関事業も通じて、登録支援機関事業の実務に関する知見も有しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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