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2025.05.14 

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訪問介護が特定技能に追加される?介護分野の現状や、新制度のポイントについて解説

日本の高齢化が進む中、介護分野における人材不足は深刻な課題となっています。​この状況を打開するため、外国人介護人材の受け入れが注目されています。​特に、在留資格「特定技能」を持つ外国人の訪問介護への従事が解禁されることとなり、介護事業者にとって新たな選択肢が広がっています。本記事では、介護分野の人材ニーズ、外国人介護人材の採用状況、訪問介護の追加に関するポイント、そして法改正を踏まえた今後の動きについて解説いたします。​

1.介護分野の人材ニーズ


外国人介護人材の採用状況


厚生労働省のデータによれば、2040年度には約57万人の介護職員が不足すると見込まれています。こうした背景から、外国人介護人材の採用がますます注目されており、制度面でもその受け入れが後押しされています。

現在、外国人が日本の介護分野で働く主な制度は以下のとおりです。

 

在留資格「介護」


日本の介護福祉士養成校を卒業した後に介護福祉士を取得した外国人留学生、または実務経験を経て介護福祉士を取得した外国人が取得できる在留資格です。

 

EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者制度


フィリピン、インドネシア、ベトナムとの経済連携協定に基づき、経済活動を通じた国同士の連携強化を図ることを目的とした制度です。

 

技能実習制度


実務を通じて技能を学ぶ制度で、介護職種が2017年に追加されました。最長5年の在留が可能で、その後は帰国するか、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」に変更することになります。

 

特定技能制度(特定技能1号)


2019年に創設された制度で、比較的早期に就労可能であり、より実務に近い立場で働けることが特徴です。介護分野でのニーズを受けて、今後最も活用が見込まれる制度の一つです。

 

厚生労働省や出入国在留管理庁の発表によれば、特定技能1号の在留外国人数は年々増加しており、特にベトナム・フィリピン・インドネシア出身者が多くを占めています。今後も訪問介護業務の追加など、制度の拡充により、さらに活用が進むと見られています。

求人の傾向


外国人介護人材を採用するにあたっては、日本人職員を採用する場合とは異なる視点や配慮が必要です。特に、外国人材に向けた求人には以下のような傾向が見られます。

 

日本語能力が重視される


介護現場では利用者との会話が重要なため、日本語能力試験(JLPT)でN3程度が求められることが一般的です。特定技能制度では、「介護日本語評価試験」に合格することが条件となっています。

 

勤務条件・待遇が明確に記載されている


労働条件が不透明なままだとミスマッチが起きやすいため、外国人材向けの求人では、勤務時間、休日、夜勤の有無、手当の有無などを丁寧に記載することが望まれます。

 

受入れ企業側の受入れ体制が重視される


単に人材を雇うだけでなく、外国人が安心して働ける環境を整えることが重要です。具体的には、住居の手配、生活指導、日本語教育支援などの準備が求められます。

 

国籍ごとの文化・宗教的背景に配慮した求人設計


例えば、宗教上の理由から特定の食事や行事への参加が難しい場合があるため、あらかじめそれらを理解し、調整できる体制が必要です。

 

このようなポイントに配慮した求人票を作成し、現地の送り出し機関や日本国内の登録支援機関を通じて発信をすることで、より良い人材の確保が可能となります。

 

2.特定技能の介護分野における業務内容


現在の業務


在留資格「特定技能1号」は、深刻な人手不足が見込まれる特定の産業分野において、即戦力となる外国人労働者を受け入れるために創設された制度です。介護分野もその一つであり、2019年の制度開始以降、多くの外国人がこの資格を取得して日本の介護現場で活躍しています。

特定技能1号の外国人が従事できる介護業務の範囲は、現時点では次のように定められています。

 

身体介護


利用者の入浴、排泄、食事の介助など、直接身体に接して行う業務です。特定技能1号の対象者は、これらの身体介護業務に従事することが可能です。

 

生活援助


掃除や洗濯、調理など、利用者の生活を支援する業務です。ただし、単独で生活援助のみを行う形での従事は原則として認められておらず、身体介護と組み合わせた形で提供されることが多くなっています。

 

介護記録の作成や報告


介護業務の一環として、利用者の様子や介護内容について記録・報告する業務も含まれます。外国人材には、日本語での記録が求められることも多く、一定の日本語能力(介護日本語評価試験などの合格)が条件となっています。

 

レクリエーションの補助など


施設内でのイベントやレクリエーションの補助も業務の一環です。利用者とのコミュニケーションが必要になるため、文化的背景や日本語でのやり取りへの理解が求められます。

 

これらの業務は、原則として介護施設内での就労を想定しています。すなわち、「特定技能介護」の従事先は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホームなどが中心です。

また、外国人がこの在留資格で働くためには、「日本語試験」の他、「介護技能評価試験」および「介護日本語評価試験」の合格が必要です。これらをクリアすることで、即戦力として現場で働ける能力があることが認められます。


訪問介護の追加


これまで、特定技能1号による外国人材は、上述したような施設内介護業務に限定されていました。これは、訪問介護が一定の判断力・責任能力・日本語能力が必要とされるため、制度上慎重な姿勢が取られていたためです。

しかし、2024年に、訪問介護が正式に特定技能1号の対象に追加されることが決定しました。この変更によって、特定技能外国人が担える業務の幅が大きく広がることになります。

訪問介護への従事が認められることで、より柔軟で地域に根差した介護サービスの提供が可能になる一方、従来以上に日本語能力や責任感が重視される傾向にあります。そのため、受入れ企業や登録支援機関には、これまで以上に制度理解と支援体制の強化が求められることになります。

 

3.訪問介護の追加にあたって検討するべきポイント


外国人側が満たすべき要件


訪問介護に従事するためには、該当の外国人は原則、介護事業所・施設などでの実務経験が1年以上ある必要があります。受入れ企業や登録支援機関はこの点を把握し、適切な人材を配置する必要があります。

 

新制度の理解


今回の訪問介護の追加を含め、特定技能は制度が複雑であり、かつ定期的に変更が行われています。受入れ企業や登録支援機関は、こうした情報を適宜キャッチアップし、新制度の詳細を把握しておくことが重要なポイントとなります。

 

外国人への支援強化


訪問介護は、被介護者の自宅という閉鎖的な空間で、単独での業務となるため、外国人にとって不安やストレスが大きくなることが予想されます。そのため、外国人のメンタルサポートなどを含め、これまで以上に手厚い支援が必要となります。

登録支援機関としては、こうした支援内容を受入れ企業と連携して構築し、外国人介護人材が安心して働ける環境を整える役割が重要になります。

 

受入れ企業のサポート


訪問介護の業務追加により、上述したような制度理解や支援体制の整備など、受け入れ企業側にもこれまで以上の負担が発生します。登録支援機関は、このような企業の負担を軽減し、企業が業務に専念した上で制度を円滑に運用できるよう、以下のような形でサポートを行うことが求められます。

 

制度改正内容のわかりやすい説明


法改正やガイドラインの内容は複雑になりがちです。企業に対して、平易な資料で説明を行い、対応すべき内容を明確に伝えることが重要です。

 

受入体制の構築支援


訪問介護に対応する就業規則の改定や、教育体制の整備、労務管理の見直しなどについて具体的なアドバイスを提供します。

 

教育・研修体制の構築支援


外国人に対して訪問介護を実施させるにあたり、OJTや日本語学習支援、マナー研修など、企業ごとに必要な内容の研修体制を構築するためのサポートを行います。

 

行政対応の代行・助言


自治体や出入国在留管理庁への手続き、指導への対応など、企業が負担に感じる部分について、適切な支援を行うことも登録支援機関の重要な役割です。

 

登録支援機関が積極的に企業支援を行うことで、法改正後もスムーズに外国人の受け入れが可能となり、企業との信頼関係を築くことができます。

 

4.改正を踏まえた今後の動き


訪問介護に関する法改正を踏まえて、今後は以下のような動きが想定されます。

 

登録支援機関の訪問介護対応スキルの差が問われる


制度変更に素早く対応し、訪問介護に対応できる体制を整えている登録支援機関が、企業から選ばれるようになります。

行政からのチェック体制の強化


訪問介護という特殊な業務特性から、今後は行政による監査や報告義務が強化される可能性があります。

介護業界全体での人材獲得競争の激化


訪問介護の追加によって、より多くの事業所が外国人材の受け入れを希望するようになり、求職者の争奪が加速することも考えられます。

登録支援機関は、これらの動きに先手を打ち、法改正後の支援内容の充実・制度理解の深化・企業サポートの強化を図ることが、競争に勝ち抜く鍵となります。

 

当事務所は、行政書士法人の他に、登録支援機関としての役割も持つ株式会社KMTを運営しています。そのため、最新の情報を常に収集しているだけでなく、登録支援機関の運営についても精通しており、実務に即したアドバイスを行うことが可能です。受入れ企業への営業のサポートなども行っているため、登録後の運営・収益化に不安があるという方のご相談にも対応しております。

また、登録支援機関向けの勉強会も開催しておりますので、ご興味のある方は是非お気軽にご相談ください。

 
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