
建設業における特定技能外国人の受け入れの必要性
近年、日本の建設業界では深刻な人手不足が続いています。特に熟練技能を必要とする業務においては、日本人の若手労働者の減少が進み、労働力の確保が業界全体の課題となっています。こうした背景も踏まえて、日本政府は「特定技能」制度を導入し、外国人労働者が一定の技能を持ち、即戦力として活躍できるようにしました。
建設業における特定技能外国人の受け入れは、労働力不足の解消だけでなく、技術の継承や現場の活性化にもつながります。しかし、特定技能制度は複雑であり、特定技能外国人の受け入れを行う企業や支援を行う登録支援機関は、特定技能制度を適切に理解し、運用することが求められます。特定技能制度に関して重要な項目の一つに、「協議会への加入」があります。本コラムでは、この協議会について解説いたします。
協議会とは
①協議会の概要
特定技能外国人を適正に受け入れるために、業界ごとに設置されているのが「協議会」です。これは、特定技能制度を円滑に運用するために、業界団体や関係機関が連携し、受け入れ企業の適正管理や外国人労働者の保護を目的として活動している組織です。各業界にはそれぞれの協議会が設置されており、受け入れ企業や登録支援機関は協議会のルールに則って運用する必要があります。
②建設業における協議会
建設業においては、他の業界と異なり、建設技能人材機構(JAC)という組織が協議会の役割を担っています。
建設技能人材機構(JAC)とは、深刻化する人材不足を抱える日本の建設業界に、建設分野における外国人材の適正かつ円滑な受入れを実現するために、2019年4月に設立された組織です。主に評価試験の実施、無料職業紹介事業の実施および建設分野特定技能外国人の適正な就労環境確保のための適正就労監理業務を行っています。
建設業において、特定技能外国人を受け入れる場合には、受け入れ企業は、必ずこのJACに加入する必要があります。出入国在留管理局に対して特定技能外国人の在留申請をする際には、このJACに加入していることが条件となるため、受け入れ企業は、それ以前にJACに加入をしておくことが求められます。
特定技能の支援を行う登録支援機関については、このJACへの加入は任意となっています。
建設技能人材機構(JAC)の役割
建設技能人材機構(JAC)は、特定技能外国人の適正な雇用を目的として、いくつかの役割を担っています。
①特定技能外国人の適切な労働環境の確保
まず一つが、特定技能外国人の雇用環境を守ることです。日本人と比べて低賃金で働かせられたりすることが無いよう、労働環境を管理し、処遇の改善を図っています。また、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際、日本の労働基準法や関係法令を遵守した契約であるかを確認します。違法な契約や不利益を被るような契約がないよう、企業に対して適正な契約締結を指導します。
②ブラック企業の排除
労働者に対して、長時間の低賃金労働をさせたいり、その他違法な働かせ方をするようなブラック企業を発見し、是正と排除を行っています。
③建設分野の特定技能外国人に対する職業紹介
JACは、雇用契約の適正性や遵守について巡回指導を行うFITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)と連携をし、無料の職業紹介による、特定技能外国人の就労支援を行うという役割も有しています。
④外国人の教育訓練・技能試験の実施
JACは、外国人材が建設業分野における特定技能ビザを取得するために受験する、技能評価試験(建設分野特定技能評価試験)を実施しています。これにより、建設業分野に適した外国人材の輩出を実現しています。
4.JACへの加入の流れ
JACへ加入をするには、二通りの方法があります。
①JACの賛助会員となる(直接加入)
まず一つは、JACの賛助会員となることです。令和7年3月4日現在、JACへ賛助会員として登録をしている企業は2951社あります。加入するためには、まずは入会資料の申し込みフォーム(https://jac-skill.or.jp/form/material.php)に必要事項を記入してい資料をダウンロードし、資料をよく読み込んだ上で、エントリーフォームから入会申し込みを行う必要があります。
②JACの正会員である建設業者団体の会員になる(間接的加入)
もう一つの方法として、JACの正会員である建設業者団体の会員となることが挙げられます。これにより、間接的にJACに加入することが可能です。
令和7年3月4日現在、JACの正会員として登録をしている団体は54団体存在し、それらのいずれかの団体に所属することで、特定技能外国人の受け入れを行えるようになります。
JAC・協議会に関して当事務所に相談するメリット
建設業に限らない話ですが、特定技能制度は複雑であり、企業、登録支援機関それぞれに守るべきルールや義務が存在します。当事務所は、特定技能精度に精通しており、様々な角度からのサポートが可能です。
①JAC・協議会への加入手続きのサポート
建設業におけるJACや、その他の分野における協議会に加入するにあたり、加入要件を満たすためのアドバイスに始まり、必要書類の準備や、申請の支援を含めて全面的にサポートすることが可能です。
②特定技能ビザ申請から法的なアドバイスまで幅広く対応が可能
当事務所は特定技能の制度開始直後から数多くの案件に対応しており、2025年3月現在、約8,500件の申請実績がございます。それだけでなく、特定技能の制度全般に精通しているため、専門家として法的な観点からのアドバイスを行うことが可能です。
③登録支援機関の運営に関するアドバイス
登録支援機関の運営に関するアドバイスを行うことも可能です。具体的な支援計画の作成にあたってのサポートや、登録支援機関の運営に必須である、受け入れ企業の開拓、実際に企業に営業を行う際の同席を含めた支援まで、ニーズに合わせて幅広く対応することが可能です。
登録支援機関の運営にお困りの方は当事務所にご相談ください
特定技能の制度は、制度開始から間もないこともあり、頻繁に変更が行われており、今後も改正や新しいルールが追加されることが予想されます。そのため、登録支援機関として長期的に安定した運営を続けるためには、最新の情報を把握し、適切な対応を取ることが必要不可欠です。
当事務所は、行政書士法人の他に、登録支援機関としての役割も持つ株式会社KMTを運営しています。そのため、在留資格の申請手続きに留まらず、登録支援機関様に向けて、実務に即したアドバイスを行うことが可能です。また、業界について最新の情報をキャッチアップし、お伝えすることができます。登録支援機関を設立予定の方、登録支援機関を設立したものの、企業への営業を始めとした運営面でお悩みの方は、是非当事務所にご相談ください。