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登録支援機関の登録が取り消しとなる理由とは?過去の取消事例や書類・届出における取消要件を解説

  • 2023年6月15日

特定技能外国人を雇用する際、企業に代わって外国人の支援を行う「登録支援機関」は、企業や外国人にとって欠かせない存在であり、その信頼性は大きなものです。しかし、登録支援機関によっては認定が取り消されるという事態が発生しています。一体、どういった理由で取り消しされてしまうのでしょうか。

本記事では、登録支援機関がどのような役割を果たし、何が取り消し要件となるのか、実際の取り消し事例、そして取り消しを避けるために注意すべきポイントについて詳しく解説します。登録支援機関の利用を検討している方や、また登録支援機関の運営を考えている企業はぜひ参考にしてください。

登録支援機関の基礎知識

現在(2023年6月2日)では、登録支援機関として8,249件が登録されています。

参考:登録支援機関登録簿|出入国在留管理庁
しかしながら、「そもそも登録支援機関とはどのような組織なのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、登録支援機関の役割や具体的な業務内容を解説します。

登録支援機関とは

特定技能制度において、外国人を受け入れる企業(受入れ機関)は、特定技能外国人が業務や日常生活を円滑に行えるように、支援することが義務付けられています。その支援業務を受入れ機関に代わって行うのが「登録支援機関」です。

受入れ機関と登録支援機関の関係は以下の図を参考にしてください。

出典:登録支援機関について|外務省

登録支援機関は、法令に基づく登録業務に関する専門的な知識と経験を持つ専門家で構成された組織です。登録支援機関として業務を行うためにはいくつかの基準を満たす必要があります。

1.登録を受けるための基準 ・機関自体が適切である(違反がないなど)
・ 外国人を支援する体制がある(外国人が理解できる言語を使えるなど)
2.登録支援機関の義務 ・外国人への支援を適切に実施している
・ 出入国在留管理庁への各種届出を提出している

 

登録支援機関が行うべきこと・役割

登録支援機関の主な役割は、「支援計画書の作成」「支援体制の整備」の2つです。特定技能所属機関(受入れ機関)から委託を受けた際に、特定技能外国人を支援するための計画を立てたり、各種支援を実施したりします。

具体的な支援内容としては次の通りです。

1. 事前ガイダンスの実施
2. 出入国の際の送迎
3. 住宅確保および生活に必要な契約支援
4. 生活オリエンテーション
5. 公的手続きなどへの同行
6. 日本語学習の機会提供
7. 職場や生活上の相談・苦情への対応
8. 日本人との交流促進
9. 転職支援(人員整理等の場合)
10. 定期的な面談、労働基準法違反等の通報

出典:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組|出入国在留管理庁

また、これらの支援の中身には、義務的支援と任意的支援があります。

・義務的支援:必ず実施しなければならない支援
・任意的支援:必須ではないが実施が望ましい支援

義務的支援と任意的支援の内容については、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」にて定められていますので、参考にしてください。

参考:1号特定技能外国人支援に関する運用要領|法務省

 

登録支援機関の取消要件について

登録支援機関として認定を受けた後も、必要な手続きを怠った場合や不正を働いた場合は登録支援機関としての認定を取り消される場合があります。ここでは、具体的な取り消し事由を紹介します。

出入国管理庁への必要な届け出を怠った場合

特定技能外国人は在留資格を得るために、各種届出を提出する必要があり、登録支援機関はそのサポートを義務付けられています。

登録支援機関がこれらの届出を怠った場合、あるいは虚偽の届出を行った場合は登録の取り消し対象となります。さらに、一度登録が取り消されれば、以後5年間は登録支援機関として再登録が出来なくなります。

特定技能外国人に対する必要な支援を怠った場合

登録支援機関が、特定技能外国人材に対して適切なサービスを提供できない場合も認定が取り消される可能性があります。

このケースに該当するのは、登録支援機関側の人的リソースが不足している場合や、支援を実施するにあたって専門知識を有していない場合などが該当します。

登録支援機関の運営体制に問題がある場合

登録支援機関の財務管理が不適切である場合や運営体制に問題がある場合も、登録支援機関の認定取り消しの事由となり得ます。透明性を欠く運営や不適切な費用請求は特に注意が必要です。

 

過去実際に取り消しに至った事例

外国人の就労拡大に向けて新設された登録支援機関の認定ですが、残念なことに過去には登録が取り消された事例も出ています。

事例

名古屋市の人材派遣会社であるグランウェイ社が2020年8月に登録支援機関の許可を取り消されました。同社は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」にて通訳などで働く外国人の登録支援を行っていましたが、本人署名欄に同社が無断で代筆し、虚偽書類を複数回にわたり入管庁に提出していたことが発覚しました。

参照:特定技能支援登録、初の取り消し 名古屋の派遣会社|日本経済新聞(2020年8月19日)

 

登録支援機関を運営するうえで気を付けるべきこと

登録支援機関として登録の取り消しを受けずに、健全な運営を継続するためには具体的にどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、主なポイントを3つ紹介します。

ポイント1.適切な法令遵守

登録支援機関として、不適切な行為や本来の役割から逸脱した行為は組織の信頼性を大きく損ないます。出入国管理庁への各種届出の提出や、支援計画の作成・実施など、求められる役割や規則を遵守し、適切な手続きを行うことが重要です。

ポイント2.十分なリソースと専門知識の確保

登録支援機関として、外国人材に対して適切なサービスを提供するためには、必要な人員や専門知識、技能を確保し、それを維持し続けることが求められます。

万が一、人材不足に陥り、本来やるべき支援業務を怠るなどした場合は、登録支援機関としての認定を取り消される可能性が高くなります。

ポイント3.適切な財務管理と透明性

登録支援機関としての公正性を保つためには、透明で適切な財務管理が重要です。費用請求は明確にし、収益の使用についても透明性を保つ必要があります。

 

運営におけるお悩みはご相談ください

本記事では、登録支援機関の役割から、取り消し要件、運営上のポイントまで詳しく解説しました。登録支援機関は、外国人材の受け入れを促進するために重要な役割を担い、企業や個人の重要なパートナーです。

しかし、一部の登録支援機関では法令の遵守違反や不適切な運営により、その認定を取り消される事態も生じています。認定の取り消しを避けるためには、適切な法令遵守、十分なリソースと専門知識の確保、そして透明で適切な財務管理が重要です。

万が一、登録支援機関の登録が抹消されてしまった場合、その後5年間は再登録ができないため、実質登録支援機関としての事業撤退を余儀なくされるでしょう。

もし、登録支援機関として認定を受けている企業・個人で、「現在の運営に問題がないか不安」という場合や、「登録支援機関になるには何から進めればいいかわからない」とお困りの場合は、外部の専門機関へ相談することがおすすめです。

私たち大房行政書士法人は、入管業務を専門としており、中でも「特定技能」に絞り登録支援機関の運営をサポートしています。特に、登録支援機関の申請や手続きは複雑であるがゆえに、これまでに多くの個人や企業のみなさまからご相談をいただいています。私たちの豊富な知識と経験を活かし、ぜひお役に立てたら幸いです。

 

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