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【業種別解説】特定技能の12分野(旧14分野)各業種別の受入れにおける注意点

  • 2023年10月19日

「特定技能」は、日本の人手不足を解消するために導入された在留資格です。この資格には、特定の分野において必要な技能を持つ外国人労働者を受け入れることができるというメリットがあります。しかし、受け入れにあたっては注意点があります。本記事では、特定技能の12分野(旧14分野)各業種別の受入れにおける注意点について解説します。

各業種の受入れ時のポイントは、人材紹介会社や登録支援機関として特定技能外国人の受入れを提案する際にも必要な知識となりますので、ぜひご確認ください。

特定技能分野における対象分野・業種

外国人労働者の受け入れを促進するために、日本政府が導入した「特定技能」制度。この制度には、特定の分野において必要な技能を持つ外国人労働者を受け入れることができるというメリットがあります。本記事では、特定技能1号と2号の対象分野・業種についてまとめて紹介します。

制度の概要については、法務省のサイトをご確認ください。

 

特定技能1号の対象分野・業種

特定技能1号は、2019年4月から施行された在留資格で、以下の12分野の業種において、一定の知識や経験、専門性を有する外国人労働者を受け入れることができます。

・介護

・ビルクリーニング

・素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

・建設

・造船・舶用工業

・自動車整備

・航空

・宿泊

・農業

・漁業

・飲食料品製造業

・外食業

 

特定技能2号の対象分野・業種

2023年6月9日に特定技能2号の分野拡大が閣議決定されました。

ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てが、新たに特定技能2号の対象になるため、今後も中長期的に日本に在留し、継続して就労をしてくれる外国人材が増えていくことが予想されます。

企業様へのご提案の際にも短期サイクルではなく、中長期的に会社で働いてくれる人材が確保できることはポジティブに捉えていただけるため営業時にも情報提供いただくのが良いでしょう。

 

各分野・業種別の職種例・受入れにおける注意点

各分野・業種別の職種例・受入れにおける注意点を紹介します。特定技能制度における外国人労働者の受入れは、分野や業種ごとに異なる職種が対象となります。具体的に分野や業種ごとに代表的な職種例を挙げ、特定技能受入れにおける注意点を解説します。外国人労働者の技術や経験を活かし、円滑な受入れを行うためには、業種の特性や要件に注意を払う必要があります。それぞれの分野や業種における職種例や受入れに関するポイントを把握し、受け入れを円滑化しましょう。

介護

対象となる職種

対象となる職種は、介護職員、介護福祉士、ホームヘルパーなどです。介護業界では、高齢化社会の進展に伴い労働力不足が深刻化しています。特定技能1号を活用し、外国人労働者の受入れによってこの課題に対処することが期待されています。

受入れにおける注意点

特定技能1号の介護業界における対象となる職種は、介護施設での入浴、食事、排せつなどの介助、レクリエーションなどに付随する支援業務の実施などがあります。特定技能1号の介護業界においては、夜勤は可能ですが、訪問介護のサービスは対象としていません。

介護職は身体的負担が大きく、また、コミュニケーション能力や忍耐力が求められるため、適性をしっかり判断しましょう。

 

ビルクリーニング

対象となる職種

対象となる職種は、ビル清掃員、ビルメンテナンススタッフ、清掃作業員などです。窓ガラスの清掃や床のメンテナンス、外壁の洗浄などが主な業務です。

受入れにおける注意点

ビルクリーニング業界においては、高所作業や危険物取り扱いなど、高度な技能が求められます。特に、高所作業においては、安全対策が重要です。

 

素形材産業

対象となる職種

特定技能1号の素形材産業における職種例としては、鋳物製造作業員、鍛造製造作業員、板金加工作業員、溶接作業員、金属加工機械操作員、金属塗装作業員、金属熱処理作業員などが挙げられます。業務としては、鉄鋼、非鉄金属、セラミックス、ガラス、セメント、プラスチック、ゴムなどの素材の製造、加工、品質管理などがあります。

受入れにおける注意点

素形材産業においては、金属加工や溶接など高度な技能が求められます。危険が伴う作業が多く、特に溶接においては、安全対策が重要です。 また製造工程の各段階での品質管理が重要であり、測定器の取り扱いや品質管理の知識が求められます。

 

※現在は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として分野が統合されていますが、製造分野が多岐にわたるため旧分野区分で解説しております。

 

産業機械製造業

対象となる職種

対象となる職種の例は、下記の通りです。

・旋盤加工作業員

・マシニングセンター加工作業員

・放電加工作業員

・研削加工作業員

・検査作業員

 

鋳物、塗装、仕上げ、電気機器組み立て、溶接、機械検査、鍛造、鉄工、プリント配線板製造、工業包装、ダイカスト、工業板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、電子機器組み立て、金属プレス加工などを行います。

 

受入れにおける注意点

特定技能1号の業種のひとつである産業機械製造業は、需要が高いですが、人手不足が続いている産業のひとつです。特定技能1号の産業機械製造業における最低限のスキル要件は、日常会話程度の日本語能力と、産業機械製造業における業務経験があることです。

※現在は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として分野が統合されていますが、製造分野が多岐にわたるため旧分野区分で解説しております。

 

電気・電子情報関連産業

対象となる職種

対象となる職種例は、下記の通りです。

・回転電気機器組立作業員

・変圧器組立作業員

・配電盤・制御盤組立作業員

・開閉制御器具組立作業員

・回転電気巻線製作作業員

・電気機器検査作業員

・電気機器修理作業員

 

受入れにおける注意点

電気・電子情報関連産業においては、電気回路の設計や製造、プログラミングなどの技能が求められます。特に、電気回路の設計においては、高度な技能が必要であり、正確な測定や設計が必要です。また、素材の品質管理においては、測定器の取り扱いや品質管理の知識が求められます。

 

※現在は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として分野が統合されていますが、製造分野が多岐にわたるため旧分野区分で解説しております。

 

建設

対象となる職種

対象となる職種例には、下記のものがあります。

・土木作業員

・建築作業員

・足場組立作業員

・鉄筋加工作業員

・コンクリート打設作業員

・屋根工事作業員

・内装仕上げ作業員

特定技能外国人は、建設業における建築や土木工事などを主に担当します。

 

受入れにおける注意点

建設業界においては、建築や土木工事などの技能が求められます。高所作業や危険物を取り扱うこともあるため、認識のすり合わせが必要です。また職種によって資格が必要になることもあります。建設業に従事する特定技能外国人は、安全に作業を行うための装備や保護具を着用することが求められます。

 

造船・船用工業

対象となる職種

対象となる職種例には、下記のものがあります。

・溶接

・塗装

・仕上げ

・鉄工

 

受入れにおける注意点

造船・船用工業においては、船舶の建造や修理などの技能が求められます。建設業に従事する特定技能外国人は、土木作業、建築作業、足場組立、鉄筋加工、コンクリート打設、屋根工事、内装仕上げなどの特別な技能を有している必要があります。

 

自動車整備

対象となる職種

特定技能1号の自動車整備における対象となる職種は、自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備などがあります。

受入れにおける注意点

自動車整備業界においては、自動車の整備や修理などの技能が求められます。特に、エンジンやブレーキなどの高度な技能が必要であり、正確な診断や修理が求められます。 また自動車整備においては、各メーカーの指示や手順に従うことが重要です。正確な点検と修理を行うために、メーカーの指示を遵守しましょう。

 

航空

対象となる職種

対象となる職種は、航空機整備士や空港グランドハンドリングです。外国人には、航空機地上走行支援業務や手荷物・貨物取扱業務、手荷物・貨物の航空機搭降載業務、航空機内外の清掃整備業務などを任せることができます。

受入れにおける注意点

航空需要は、日本を訪れる外国人観光客が年々増加していることや、格安航空機の出現で増加の一途をたどっています。そのため、人材の確保は非常に重要な課題です。特定技能1号の業種である航空において、外国人の人材に求められる水準は、自動車の定期点検整備や分解整備を1人で適切に行うことができるスキルです。3級自動車整備士と同程度の水準とも考えられています。

 

宿泊

対象となる職種

宿泊業界における特定技能1号の対象となる職種は、ホテルフロント業務、客室清掃業務、ホテル調理業務、ホテル飲食サービス業務などがあります。

受入れにおける注意点

宿泊業界は、外国人観光客の増加によって需要が増加しており、人材の確保が課題です。また、特定技能1号の宿泊業界における最低限のスキル要件は、日常会話程度の日本語能力と、宿泊業界における業務経験があることです。

 

農業

対象となる職種

・野菜・果物の収穫作業員

・種苗生産作業員

・養豚・養鶏作業員

・飼料製造作業員

受入れにおける注意点

農業は屋外での作業が多く、季節や天候によっては労働環境が厳しいことがあります。労働者の健康と安全を確保するため、適切な労働環境整備と安全対策が必要です。農業は労働力不足が深刻な課題となっています。特定技能1号の導入により、外国人労働者の受け入れが行われることで労働力不足の解消が期待されます。

 

漁業

対象となる職種

・漁師

・漁船船員

・漁業加工作業員

・漁業資材製造作業員

・漁業資材販売員

受入れにおける注意点

漁業は資源の持続的な利用が求められます。過剰な漁獲や乱獲による資源の減少を防ぐために、適切な漁獲量の管理や漁業資源の保護が必要です。また漁業は法的な規制や漁業法令に基づいて行われます。特定技能1号の漁業においては、これらの規制や法令の遵守が求められます。

 

飲食料品製造業

対象となる職種

対象となる職種は下記が挙げられます。

・製造ラインオペレーター

・飲食料品の調理、調製、製造

・飲食料品の販売、接客、サービス

受入れにおける注意点

飲食料品製造業では衛生管理が重要です。食品の安全性と品質を保つために、衛生基準と衛生管理手順の徹底が求められます。食品の安全性に関する法律が厳しく、違反すると罰則が科せられることがあるため、法令遵守には十分な注意が必要です。

 

外食業

対象となる職種

特定技能1号の外食業における対象となる職種は、調理、接客、清掃、配膳、レジ業務、食材仕入れ、食材管理、食品衛生管理、食品品質管理などがあります。

受入れにおける注意点

外食業はピーク時や忙しい時には高い労働負荷がかかります。労働者は忙しさに対応できる体力とストレス管理のスキルが求められます。

 

特定技能受入れ・支援を行ううえでのポイント

特定技能外国人を受け入れるにあたり、対象分野・業種の把握が重要です。また、職種レベルの理解も必要です。職務内容や必要なスキルを把握し、適切な教育・研修を行うことが求められます。特定技能受け入れのポイントを解説するため、参考にしてください。

対象分野・業種の把握

外国人労働者を受け入れる前に、対象分野・業種の特性と要件を把握することが必要です。業界のニーズや技術レベル、労働市場の状況を理解し、労働者のスキルと需要のマッチングに努めることが重要です。特定技能外国人労働者のスキルや経験に応じた職種を提供することで、生産性の向上や人材確保につながります。

 

職種レベルでの理解

各職種の具体的な業務内容と要件を把握することが重要です。労働者のスキルや経験、認定資格の評価と適切な配置を行い、適正な仕事の割り当てとトレーニングプログラムの提供を行うことが求められます。職種レベルに応じたスキルや知識、日本語能力などを把握し、適切な教育・研修プログラムを提供することで、効果的な受け入れ・支援が可能となります。

 

受入れに関するアドバイス

労働者が円滑に受け入れられるように、言語や文化の違いに対応するアドバイスを提供することが重要です。労働条件や労働環境の説明、生活サポートの提供、必要な手続きの案内など、労働者が安心して働ける環境を整えることが求められます。

 

運営におけるお悩みはご相談ください

特定技能の12分野(旧14分野)各業種別の受入れにおける注意点について解説しました。受入れにあたっては、日本語能力や業務経験の有無のみならず、外国人労働者の生活環境や労働環境も配慮が求められます。さらに法令や規則に基づいた適切な手続きを行うことが求められます。これらの注意点を踏まえた上で、登録支援機関として企業様へのご提案時にも最低限の要件や業種に関する理解をしたうえで営業をしていくことが重要です。

 

私たちは登録支援機関の運営に関する各種相談にも対応をしております。営業時の同席や企業向けセミナーの開催等も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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