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特定技能の在留資格を変更するには?登録支援機関が知っておくべき基礎知識

  • 2023年10月19日

特定技能の在留資格を変更するには、多くのハードルを乗り越えなければなりません。これらのハードルを乗り越えるために登録機関が知っておくべき基礎知識は広範囲にわたり、それらの多くには専門的な知識が含まれます。

本記事では、特定技能の在留資格変更について、概要から具体的な手続きについてお話をさせていただきます。

 

○特定技能制度とは?

○在留資格「特定技能」の基礎知識

○特定技能への在留資格変更について

○登録支援機関による在留資格管理のポイント

 

特定技能制度について

特定技能制度とは、国内で人材を確保することが難しい複数の産業分野において、一定レベルの専門性や技能などを持っている外国人を受け入れるために創設された制度です。いわば、国内の深刻な人手不足問題を解決するために整備された制度と言えるでしょう。

 

2018年に特定技能外国人を受け入れる根拠となる、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(いわゆる改正出入国管理法)」が成立。同法にもとづき2019年4月から、外国人の受け入れが可能になりました。

この改正法の主な内容は下記の通りです。

○在留資格「特定技能1号・2号」の創設

○出入国在留管理庁の設置

 

制度概要

○ビザ(査証)との違い

○特徴

特定技能制度の概要について、以上2つの観点から解説します。

 

特定技能の特徴

たとえば「技能実習」のように、「特定技能」以外にも日本国内での就労を可能とする在留資格は存在します。しかし、在留期間・活動内容・要件などにそれぞれ違いがあり、特定技能ではより細やかなケアを、受け入れる側の企業(機関)に求めているのが特徴です。

技能実習制度との違い

そもそも、技能実習と特定技能では制度がつくられた目的が異なります。

 

技能実習の目的は「国際貢献」です。当該外国人が現場での実習を通じて日本のさまざまな技術を習得し、帰国後にその技術を母国に広めるために創設されました。特定技能は先ほども紹介したとおり、「日本国内の人手不足を解消するためにつくられた制度」です。

制度設計としては特徴や目的も異なってはおりますが、日本で継続的に就労していただく外国人材を確保していくため、技能実習2号を良好に修了した方には、「特定技能」に在留資格を変更できる制度も整備されています。

 

特定技能制度における登録支援機関とは?

特定技能制度における登録支援機関とは、日本にやって来た特定技能外国人に対してサポートの役割を果たす機関です。特定技能外国人が仕事の上でも生活の上でも、安定的かつ円滑に活動できるよう、在留期間における支援計画の作成や遂行が主な仕事になります。

外国人を受入れた企業(特定技能所属機関)から、委託を受けて支援するのが一般的でしょう。

 

特定技能制度における登録支援機関の役割

特定技能所属機関(受け入れ企業)には、特定技能外国人の支援を円滑に実施することが義務付けられています。

 

しかし、特定技能外国人の支援には専門的な知識が必要となる場合が多く、その範囲も社会生活全般に及ぶため、円滑に支援業務を遂行するのが難しいケースが少なくありません。

このようなミスマッチを解消するのが、「登録支援機関」の役割です。特定技能所属機関に委託される形で、特定技能外国人の支援計画書の作成・実施を代行するのが、登録支援機関の役割になります。

 

在留資格「特定技能」の基礎知識

特定技能は外国人が従事する業種に応じて、「1号」と「2号」の2種類に分かれます。

 

在留期間や求められる専門性など、特定技能1号と2号にはさまざまな違いがありますが、まず何と言っても目を引くのが「対象となる業種の数」でしょう。特定技能1号には全部で12業種が該当しますが、特定技能2号は2業種しか存在しません(2023年6月時点)。

 

それぞれの受け入れ分野は、以下の通りです。

特定技能1号(全12業種)
介護 ビルクリーニング 建設 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 造船・舶用工業 自動車整備
航空 宿泊 農業 漁業 飲食料品製造業 外食業

 

特定技能1号 特定技能2号
在留期間 1年、6か月又は4か月ごとの更新で、通算上限5年まで 3年、1年又は6か月ごとの更新で上限なし
技能水準 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人が1号になる場合は試験等免除) 試験等で確認
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(同上) 試験等での確認は不要
家族の帯同 原則不可 要件を満たせば可能(配偶者や子どもなどを想定)
受入れ機関もしくは登録支援機関による支援の有無 支援の対象 支援の対象外

先に述べた通り、特定技能1号と2号を比較するといくつかの点で相違が見られますが、1号で在留する外国人に対しては、受入れ機関もしくは登録支援機関による支援の実施が求められている点は、改めて強調しておく必要があるでしょう。

特定技能1号の方が2号よりも圧倒的に業種が多いのですから(※)、該当する外国人の数も必然的に圧倒的多数になります。つまり、特定技能外国人を受け入れる際には、登録支援機関によるサポートがほぼ必須になるということです。

また1号と違って2号には、在留期間に上限がない点も強調しておきます。特定技能2号の在留資格を取得すれば、一定期間ごとに資格を更新することで、日本で長期間働き続けることが可能なのです。

特定技能2号は、日本で相当程度の実務経験を積んだ外国人向けの在留資格になります。特定技能2号は、特定技能1号の上位資格と言ってもよいでしょう。

※2023年6月時点の状況です

 

特定技能2号の追加について

2023年6月9日に、特定技能2号の追加が閣議決定されました。

ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てが、新たに特定技能2号の対象になったのです。

今後、関連する省令の改正をもって施行される運びになります。特定技能2号への門戸が、大幅に広がったと考えてよいでしょう。

 

特定技能外国人(個人)の側に求められる要件

特定技能外国人の側に求められる要件は、ズバリ「試験に合格すること」です。試験には以下の2種類があります。

○日本語能力を確認する試験

○特定産業分野ごとの技能試験

 

日本語能力を確認する試験

日本語能力を確認する試験は、以下の2つです。

○国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

○日本語能力試験

 

いずれの試験も、日本語である程度の日常会話ができるかどうかが判定されます。日常生活に支障がない程度の日本語能力があればOKなので、合格へのハードルはそれほど高くはありません。

 

ただし、介護分野で就労する特定技能外国人(2号が該当)は、話が少し異なります。上記試験に加えて、「介護日本語評価試験」にも合格しなければならないからです。

 

介護日本語評価試験は、過去問が公開されていないため難易度を断定できません。しかし、厚生労働省が公表しているサンプル問題を見る限り、介護に最低限必要となるであろう日本語(単語)を理解できるかどうかが判定されるようです。

 

参考資料として、一般社団法人外国人就職支援センターが作成した例題を、以下に1問掲載します(※)。

 

Q:下線部の言葉とだいたい同じ意味の言葉は何ですか?

○鈴木さんの臀部(でんぶ)が赤くなっている。

1・目

2・鼻

3・お尻

4・胸

 

A:3

※引用元:一般社団法人外国人就職支援センター「特定技能 介護日本語評価試験 練習問題」

https://support.go2workjp.com/kaigonihong-mondai/

 

特定産業分野ごとの技能試験

先ほど紹介した全産業分野には、「技能試験」があります。試験内容は分野ごとに千差万別です。ここでは一例として、建設分野の試験概要を紹介します(試験問題は非公開)。

 

学科試験 実技試験
問題数 30問 20問
試験時間 60分 40分
試験内容 学科テキストならびに学科サンプル問題より出題 実技テキストならびに実技サンプル問題より出題
出題形式 真偽法(※1)もしくは選択式 真偽法もしくは選択式
実施方法 CBT方式(※2) CBT方式
合格基準 合計点の65%以上 合計点の65%以上

※真偽法とは?:○×問題のこと

※CBT方式とは?:コンピュータを利用して実施する試験方式のこと

 

受け入れる企業側に求められる要件

受け入れる企業側(特定技能所属機関)に求められる要件は、以下の通りです。

 

要件
特定技能雇用契約(特定技能外国人と結ぶ雇用契約)が適切であること 報酬額が日本人と同等もしくはそれ以上
受入れ機関自体が適切であること 労働法令を遵守している企業と認められる

 

外国人を支援する体制があること 特定技能外国人が理解できる言語(母国語)で適宜適切に支援ができる
外国人を支援する計画が適切であること 特定技能外国人1号への支援体制が整備されている

登録支援機関に支援を代行している

上記を適切に実行する大前提として、受け入れる企業の側には以下のような義務が課せられています。以下の義務要件を怠っていると認められる場合、出入国在留管理庁から指導・改善命令などを受けることがあるので注意してください。

義務要件
外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること 報酬を適切に支払う

日本国内の関連法を遵守する

外国人への支援を適切に実施すること 特定技能外国人が日本における社会生活全般で不自由しない体制を整え実行する
出入国在留管理庁への各種届出を行うこと 居住地・社会保障・税金の届出など

 

特定技能への在留資格変更

特定技能への在留資格の変更においては、特定技能試験へ合格している外国人材もしくは技能実習からの移行を行う外国人材を想定としていましたが、新型コロナウイルスによって特例措置等が多く設けられたことで、新規入国が停止しているなかでも特定技能外国人数は増加傾向にありました。

コロナ禍における特例措置

コロナにより入国が制限されたことに伴い、多くの帰国困難者が発生しました。事態を重く見た政府は特例措置として、日本に滞在したまま在留資格を「特定技能」や「特定活動」に変えるための条件を緩和したのです。

その結果、技能実習から特定技能へ流れる外国人が急増しました。現在では、特定技能外国人の多くは、技能実習からのルート変更組で成り立っていると言っても過言ではないほどです。

 

技能実習から特定技能への変更の流れ

変更時の移行条件(技能実習→特定技能)

技能実習から特定技能への主な移行条件は、以下の通りです。

○技能実習2号を良好に修了していること

○技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること

○申請人が特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること

 

特定技能1号から2号への変更の流れ

変更時の手続きの流れ

特定技能1号から2号へと変更する際の手続きの流れは、以下の通りです。

①2号移行試験(技能検定基礎もしくは技能評価試験初級)の受検・合格

②2号用技能実習計画の提出・認定

③在留資格変更許可申請の提出(在留資格の変更申請)

④入国管理局での審査

⑤認可

 

変更時の注意点

特定技能1号から2号へと変更する際に気を付けなければならないのは、「各種手続きの期限がきわめて限定的である点」です。

 

たとえば、2号移行試験(①)における受験推奨期間は、1号の期間満了の2ヶ月前とされます。スケジュールを逆算すれば、入国から6ヶ月程度で試験に申し込み、8ヶ月目には受験をする計算です。

2号用技能実習計画の提出(②)も同様。審査期間には1ヶ月程度が見込まれるため、日本にやって来て9ヶ月程度で、申請を済ませなければならない計算になります。

 

いずれにせよ、特定技能外国人にとっては、まだ日本に慣れていない段階で準備を進めなければなりません。特定技能外国人がこれらの申請作業を滞りなく済ませるには、登録支援機関による適切な支援が必須となるでしょう。

 

登録支援機関による在留資格管理のポイント

○外国人材の在留資格のチェック

○適法な雇用管理

○適切な支援業務の実施

登録支援機関による在留資格管理のポイントとして、以上3つが挙げられます。

 

外国人材の在留資格のチェック

登録支援機関の業務において、外国人材の在留資格のチェックは要注意ポイントです。特に、期限内に資格を更新しているかどうかの確認は、重要なチェックポイントになります。更新が遅れると、資格を剥奪される可能性があるからです。

1号の場合は更新期間が短い(1年・6ヶ月・4ヶ月)ので、支援業務を適切に行ったうえで必要なタイミングで届出を適正に行っておくことが重要です。

 

適法な雇用管理

特定技能外国人を受け入れる目的が人材不足をカバーすることのため、違法とまでは言えないものの、非常にグレーな雇用管理をする企業も現実にはあるようです。改正出入国管理法や各種労働関連法の遵守はもちろん、企業倫理の体現が求められます。

 

適切な支援業務の実施

入国後間もない特定技能外国人が、役所などで公的手続きを独力で済ませるのはほぼ不可能です。住居確保やライフラインに必要な契約(電気・ガス・水道など)も同様。登録支援機関による、適切な支援(随行)が欠かせません。

特定技能外国人は労働するために日本にやって来ますが、その過程で生活環境の激変を経験します。言語や文化の違いになるべく早く適応してもらえるように、オリエンテーション・スクーリングなどを都度実施する必要があるでしょう。

日本人との交流促進や、悩み事の聞き取りなども求められます。つまり、労働問題についてだけでなく日常生活全般について、広範囲に支援をしなければならないのです。

 

運営におけるお悩みはご相談ください

登録支援機関に求められるサポート業務は多種多様であり、確かな経験はもちろん、きわめて専門的な知識や技術が求められるのです。当社には長い間蓄積してきたノウハウと、あらゆるシチュエーションに対応可能なプロフェッショナルがそろっております。

支援業務の適正な実施を求められている登録支援機関様や自社で支援業務を内製化される特定技能所属機関の支援担当者様は、ぜひ一度当社にご相談ください。丁寧なヒアリングで最善の解決策をご提示し、確実に実行することを固くお約束致します。

 

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