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2025.09.25 

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特定技能「外食」とは?業界特性や取得要件を登録支援機関向けに解説

日本の外食産業は、国民の食を支え、観光立国としての魅力を高める上で欠かせない基幹産業です。しかし、少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少、さらに若年層の飲食業界離れといった複合的な要因により、深刻な人手不足に直面しています。このような状況を打破するため、国が推進しているのが特定技能制度です。中でも「外食」分野は、その需要の高さから、登録支援機関にとって大きな可能性を秘めた領域と言えるでしょう。

このコラムでは、特定技能「外食」の基本情報から、外食業界が抱える課題、在留資格取得の要件、そして登録支援機関がこの分野に取り組むメリットや専門家との連携の重要性について詳しく解説します。

 

1.飲食業界の課題


日本の飲食業界は、多くの需要のある業界でありながらも、人材の確保においては課題を抱えている業界でもあります。少子高齢化による生産年齢人口の減少に加え、飲食業界に対する「長時間労働」「低賃金」「休みが取りにくい」といったネガティブなイメージが根強く、「きつい、汚い、危険」という「3K」のイメージから若年層の業界離れが進んでいます。これにより、特に繁忙期や営業時間によっては、十分な従業員を確保できず、店舗運営に支障をきたすケースも少なくありません。多くの飲食店が人材確保に苦慮しており、外国人材の受け入れは喫緊の課題となっています。
また、人手不足が原因となり、労働環境の悪化という状況にも繋がっています。少ない人数で業務を回すため、従業員一人当たりの負担が増加し、結果として長時間労働が常態化しやすくなります。また、飲食業界特有のシフト制勤務や、週末・祝日の出勤が多いことなども、ワークライフバランスを重視する現代の求職者にとって敬遠される要因となっています。このような労働環境は、従業員の定着率の低下を招き、さらなる人手不足を加速させる悪循環を生み出しています。

 

2.特定技能「外食」とは


特定技能制度は、国内での人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。特定技能「外食」は、その名の通り、日本の外食産業を支える外国人材の受け入れを目的としています。

① 業種


特定技能「外食」の対象となるのは、日本標準産業分類に掲げられている「76 飲食店」「77 持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する飲食店です。具体的には、レストラン、居酒屋、カフェ、ファストフード店、テイクアウト専門店などが該当します。これらの店舗で提供される幅広い外食サービス全般が対象となるため、受け入れ企業の選択肢も広いです。

② 主な業務内容


特定技能「外食」の外国人材は、特定技能1号の場合には外食業全般(飲食物調理、接客・店舗管理)の業務、特定技能2号の場合には1号業務に加えて店舗経営業務に従事する必要があります。
■外食業全般に含まれる業務内容
1)飲食物調理
食材の仕込みや調理、盛り付け等、客に提供する飲食料品の調理・調製・製造業務
2)接客
配膳、注文伺い、代金の受け取り等、客に飲食料品を提供するために必要な業務のなかで、調理以外の業務
3)店舗管理
店舗の衛生管理や備品の補充など、店舗の管理・運営に必要となる業務の中で飲食物調理・接客に含まれない業務

■(特定技能2号のみ)店舗経営業務
店舗の経営分析や、契約に関する事務業務等、店舗をトータルで管理するために必要な業務の中で、特定技能1号の業務1)から3)に含まれない内容の業務のことを指します。

③ 受入れ要件について


外食業分野において特定技能外国人を受け入れる場合、初めて特定技能外国人を受け入れる前に、食品産業特定技能協議会へ入会する必要があります。入会手続きには1-2ヶ月程度かかるため、早めの入会が必要です。
さらに外食業分野においては、受け入れに際して外国人のキャリアアッププランを契約時に示す必要がありますので、社内の育成体制についても整備する必要があります。
また、特定技能「外食」においては、従来は旅館等の一部の事業者による雇用がみとめられていませんでした。しかし、外食業界の人手不足の現状を踏まえ、政府は2025年には、特定技能外国人の雇用を認めるよう、受入要件が緩和されました。接待業が認められないのは変わりませんが、一般的な調理や配膳などは実施が可能になります。

 

3. 特定技能「外食」の取得要件・方法


特定技能「外食」の在留資格を取得するためには、外国人材は技能面と日本語能力面の要件を満たす必要があります。

① 技能要件:技能測定試験の合格


特定技能「外食」の在留資格を取得するためにはまず「外食業特定技能1号評価試験」に合格することが必須です。これらの試験は、外食業務を遂行するために必要な専門的な知識と技能を有しているかを評価するもので、調理技術、接客スキル、食品衛生に関する知識など、実務に即した幅広い分野から出題されます。外国人材が安心して試験に臨めるよう、試験対策の支援が重要となります。

② 日本語要件


業務上必要なコミュニケーション能力を測るため、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)にて総合得点200点以上をとる必要があります。N4レベルは、基本的な日本語を理解し、日常会話がある程度できるレベルであり、お客様との簡単なやり取りや、業務指示の理解、同僚とのコミュニケーションに必要な最低限の日本語能力が求められます。外国人材がスムーズに業務に溶け込むためにも、日本語学習のサポートは欠かせません。

③ 技能実習からの移行での特定技能1号の取得


現在、日本で技能実習生として飲食分野で実習を行っている外国人材は、特定の要件を満たすことで、特定技能1号へ移行できる場合があります。飲食業の場合には、「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設休職製造」の2号技能実習を良好に修了していることが条件となります。このルートは、既に日本の生活や文化、そして飲食業界の慣習にある程度慣れている外国人材が多いため、特定技能人材としてスムーズに移行し、即戦力として活躍しやすいというメリットがあります。登録支援機関は、このような移行ルートも視野に入れた支援を提供できます。

④特定技能2号取得のための実務要件


特定技能1号から2号に移行する場合には、技能試験・日本語試験への合格に加えて、実務経験の要件も加わります。
試験については、「外食業特定技能2号測定試験」への合格と「日本語能力試験」にてN3以上の取得が必要です。実務経験に関する要件としては、食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数の外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、副店長、サブマネージャー等の店舗管理を補助する立場での2年間の実務経験が要件となっています。

 

4. 登録支援機関が外食業分野に取り組むメリット


登録支援機関が特定技能「外食」分野に注力するメリットには以下のような点があります。

①業界における支援ニーズが大きい


最大のメリットは非常に高い需要が見込めることです。前述の通り、日本の飲食業界は慢性的な人手不足に悩んでおり、特定技能外国人材へのニーズは非常に切実です。そのため、登録支援機関は安定した事業機会を確保しやすく、継続的なビジネス展開が期待できます。

②支援業務の標準化がしやすい


支援内容の標準化が比較的容易である点も挙げられます。外食業の業務内容は、他の特定技能分野と比較して、ある程度の標準化が可能です。調理や接客といった基本的な業務は、業態が異なっても共通する部分が多いため、登録支援機関は効率的に支援体制を構築し、質の高いサービスを提供しやすくなります。

③社会貢献性が高い


さらに、外国人材の活躍が「見える」という点も、登録支援機関の職員にとって大きなやりがいとなります。飲食店は地域に密着した存在であり、特定技能外国人材が実際に調理や接客を通じてお客様にサービスを提供し、店舗の活性化や地域経済に貢献する姿を身近に感じることができます。これは、単なるビジネスだけでなく、社会貢献としての側面も強く持つと言えるでしょう。

 

5. 登録支援機関の運営に当たって専門家と連携するべき理由


特定技能外国人材の受け入れを円滑に進めるためには、登録支援機関には多岐にわたる専門知識と実務能力が求められます。そのため、登録支援機関は行政書士等の入管法に詳しい専門家と連携して業務を進めていけるとスムーズに業務を進めることができます。専門家と連携したほうがスムーズな運営が可能な理由としては、以下のような理由が挙げられます。

①法律面でのサポートを受けられる


特定技能制度は、出入国管理及び難民認定法(入管法)やその他の関連法令に基づいており、在留資格の申請手続き、各種届出等、制度自体も複雑になっています。そのため専門家と連携することによって、自社内では不安の残る法律や制度の正しい活用について、相談することができます。
また、法改正の多い分野でもあるため、最新の法改正情報等も、専門家との連携によって正しい情報を得ることができます。

②企業からの信頼が確保できる


登録支援機関運営においてハードルになりやすいポイントの1つに、企業との支援契約がなかなか取れないというものがあります。しかし、行政書士等の専門家との連携や、実際に営業提案へ士業同席のもとで企業への営業を行うことによって、企業側担当者が安心して特定技能人材を受け入れることができるようになります。そのため、付随して発生する支援業務についても、案件依頼の獲得がしやすくなります。

③他の登録支援機関との差別化になる


登録支援機関の中でも、しっかりと専門家への相談体制を整えている支援機関はまだ多くありません、そのため、他の支援機関と比較された際に、専門家と連携して支援業務にあたっているということは、支援機関としての強みになります。

登録支援機関の運営にお困りの方は、大房行政書士法人までご相談ください
特定技能「外食」は、日本の飲食業界が抱える課題を解決し、多様な人材が活躍できる社会を築くための大きな可能性を秘めています。登録支援機関は、その実現に向けた重要な架け橋となる存在です。専門家との強固な連携を通じて、外国人材が安心して働き、最大限に能力を発揮できる環境を整備することが、日本の飲食業界の未来を切り拓く鍵となるでしょう。

大房行政書士法人では、登録支援機関様向けのサービスを提供しております。
登録支援機関事業への関心がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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